SPECIAL 特集 尾鷲真羽太 2020.07.10 幻の高級魚、マハタ 沿岸生態系の上位に位置する大型の肉食魚であることから天然物の漁獲量が少なく、また極めて美味であることから、幻の高級魚と呼ばれています。 ハタ科の魚 ハタ科の魚は世界各地の温帯から熱帯にかけて生息し、非常に美味であることから、特に、東アジア、東南アジア諸国では高級魚として取引されています。国内においても最大種のクエ(アラ)、西日本を中心に知られるキジハタ(アコウ)や、沖縄で養殖されているヤイトハタ等の高級魚が多く、マハタはクエに次ぐ大型種です。 参考文献 征矢野清・ほか編(2015)『ハタ科魚類の研究最前線』 (水産学シリーズ181)恒星社厚生閣. マハタの身とクエの身 高級魚クエと身質特性に大きな差はなく、マハタは血合の赤色が鮮やかなことで見分けが付きます。 【養殖マハタの身質特性-Ⅱ(養殖クエとの比較)三重県水産研究所】より抜粋 ※一定期間同じ餌を与えた平均1.3kgの養殖マハタと平均1.5kgの養殖クエの比較 種苗生産・養殖技術の発展 尾鷲市でマハタの養殖が始まったのは昭和60年頃からといわれており、三重県で最も古くからマハタ養殖に取り組んだ地域です。 三重県水産研究所が種苗生産と養殖技術の開発に取り組み、現在では人工種苗が安定供給されるようになりました。 三重県水産研究所 尾鷲水産研究室 三重県水産研究所 提供 全国一の生産量 平成26年度の三重県のマハタ種苗生産量は全国の約78%を占め※、県内マハタ生産量の約8割から9割が尾鷲市で生産されていることから、尾鷲は全国一の生産量を誇っていることになります。これは県や栽培漁業センター、漁協、生産者など関係者の取り組みによるものです。 ※引用文献 国立研究開発法人水産総合研究センター(2015)『平成26年度栽培漁業海面養殖用種苗の生産・入手・放流実績』三重県水産研究所 尾鷲水産研究室 (生産者の声)三木浦町 三鬼大さん マハタは見た目とは違ってとてもデリケートな魚です。網替えや出荷作業の際には細心の注意を払わなければならず、とても神経を使います。それだけに、大きく育てられ、消費者の方に届けられる時の喜びは何物にも代えがたいものがあります。食べ方はやはりまるごと一尾を使った鍋を味わっていただきたいと思います。 透明感のある透明な白身 コラーゲンが豊富でもっちりとした歯ごたえが非常に強く、加熱しても身崩れしません。歯ごたえは長持ちし、ドリップが少ないのも特徴です。透明感のある上品な白身で、和洋中いずれの料理の食材としても適しています。 おわせマハタ取扱店 マハタを取扱う生産者や漁協、県、市により「おわせマハタ協議会」が設立され、地域内外へのマハタの知名度の向上と流通促進に取り組んでいます。協議会では、尾鷲生まれの尾鷲育ち「おわせマハタ」を取扱う飲食店や小売店を「おわせマハタ取扱店」として認定しています。 おわせマハタ取扱店はコチラ 尾鷲市のマハタ養殖の歩み 昭和60年頃市内生産者が天然種苗でマハタ養殖の取り組みを開始。 平成5年度~平成8年度市が養殖試験を行う。 成果は「マハタ養殖の手引き」に取りまとめ、養殖技術の普及に努める。 平成8年度三重県水産研究所が種苗生産と養殖技術の開発に取り組む。 平成20年度~平成22年度三重県水産研究所から尾鷲栽培漁業センターに種苗生産技術を移転。 平成23年度尾鷲栽培漁業センターが単独で種苗生産を開始。 平成23年9月おわせマハタ協議会発足。おわせマハタ取扱店の登録開始。 平成24年2月マハタVNN(※)ワクチンが実用化。以降生産量が更に安定。 ※VNN:ウイルス性神経壊死症の英語の頭文字をとった略称。マハタのウイルス病の一種で、ワクチンが実用化されるまではマハタ養殖の大きなハードルとなっていた。 水産研究・教育機構 プレスリリース 関連リンク